屋根の工法

屋根の工法

屋根の工法は法規制や今までの経過を踏まえながら、材料メーカーが中心となって徐々に新しい工法へと進化しています。ですから、昔の基準や工法で建てられた家は、現在の基準に当てはめると何らかの不具合がある可能性が高いと言えます。

現在も発展途上といえると思いますが、今後も住宅環境の改善のために、業界全体でより良い工法を開発していく必要があります。

屋根リフォームの勧め

屋根をリフォームすることで、建物の耐震性や断熱性を高めることが出来ます。特に新耐震基準以前(昭和56年)に建てられた住宅で耐震改修を行い、条件を満たすような場合は補助金制度や減税制度があります。

建物に必要な壁の量は、屋根を含めた建物の重量によって決まります。建築基準法では屋根の重量とそれに必要な壁の量について以下のように定めています。

屋根リフォームと耐震性

つまり建物の耐震性は、屋根はより軽く、耐力のある壁の量はより多く、建物の高さはより低い方が耐震性が高まると言えます。

住宅用化粧スレートの一般的な工法

ここでは住宅用化粧スレートの一般的な施工方法をご説明いたします。野地板が施工されている状態からの施工手順となります。

1 軒先水切の施工

軒先に水切りを取り付けます。水切りの継ぎ目は50mm以上重ねて取り付けます。また、隅棟部も重ねて施工します。

2 下葺材の施工

下葺材のルーフィングは防水上なくてはならない工事です。基準に応じた重ねしろを取って張っていきます。特に端部や他の部材との取り合い部の施工には注意が必要です。

3 荷揚げ

下葺材の施工が完了すれば次は荷揚げです。屋根はしごなどで材料を施工する箇所に荷揚げしていきます。

4 のぼり木の取り付け

けらば部にのぼり木と呼ばれる桟木を取り付けます。ケラバ部に取り付ける役物や本体材料によっても、のぼり木に使用する材料の寸法が多少変わってきます。

のぼり木に通常の材木を使用する場合、増張りルーフィングをのぼり木の上に被せるように施工します。

5 けらば水切・捨板水切・谷板の施工

のぼり木の取り付けが終われば、その上にケラバ水切を施工します。ケラバ水切も継ぎ目は50mm以上重ねて施工します。端部は見た目や水仕舞をよくするために加工します。

また、捨板水切や谷板の施工が必要な屋根形状の場合はそれらを取り付けます。谷板は釘穴を開けてはいけませんので吊り子と呼ばれるものを使用して固定します。

6 屋根材の施工

まず軒板(スターター)を軒先から20mm以上出して取り付けます。その上から1段目の材料を施工していきます。その時に端の材料が極端に小さい材料にならないように材料の割り付けを行います。やむを得ず端が小さい材料になった場合は、接着材を併用して固定します。また、同じ段のジョイント部は、下地の動きによって屋根材が変形しないように、突き付け過ぎずに注意して施工します。

段ごとの重ねしろは、材料の規定通り張り重ねていき、最上部の棟部まで張り上げます。

7 平棟・隅棟の施工

材料をすべて張り上げたら棟部を施工します。まず、笠木と呼ばれる桟木をを取り付けて、その上から棟包という役物を取り付けます。棟包のジョイント部は50mm以上重ねてシーリング処理をします。

また、棟で換気を取る工法を採用している場合は、棟換気用の役物を使用します。棟換気をすることによって、屋根裏で夏場にこもる熱気を和らげたり、結露や湿気の防止効果が期待出来ます。

8 他部材との取り合いの施工

下屋(壁面から出ている屋根)がある建物の場合は、壁取り合い部の施工が必要となります。壁取り合い部での大きな注意点としましては、ルーフィングを最低200以上立ち上げて施工するということです。後は棟同様、笠木を取り付けて、その上から雨押えという役物を取り付けます。

壁との取り合い部は上記の他、流れ方向取り合い、軒先との取り合い、出隅部、入隅部などでは雨漏り防止のために板金の重ねしろや板金の立ち上がり寸法、その他板金加工、シーリングなどで何重にも漏水対策をしておくことが重要です。

他にもトップライト(天窓)との取り合いなど他部材との取り合いとなる箇所は、一番雨が侵入しやすい箇所ですので注意が必要です。

快適!熱シャット工法

KMEW(クボタ松下電工外装)がお勧めするパッケージ企画です。長期優良住宅の普及の促進に関する法律や次世代省エネ基準、住宅の長寿命化(「200年住宅」)促進税制など日本の住宅は今後益々高耐久・高性能化が求められていきます。この工法を採用することで5つの機能性をUPして3つのメリットを提案しています。

快適!熱シャット工法の機能とメリット

快適!熱シャット工法のメカニズム

快適!熱シャット工法のイメージ図

夏場の屋根裏温度を約10℃低下させ、
室内への熱伝導を低減します。

太陽の日差しが強い夏場。屋根が受ける太陽の熱で屋根裏の温度は高温になり、その下の部屋が非常に暑くなります。「快適!熱シャット工法」は、屋根面に通気層と遮熱シートを設け、太陽熱を屋根部分で遮熱。さらに通気層にたまった熱気、そして屋根裏の湿気や熱気を排出し、夏場の屋根裏温度を低下させる工法です。これにより室内への熱の伝導を低減。冷房効率を高め、光熱コストを節減することができます。

※KMEWの実験結果であり、効果を保証するものではありません。

屋根と下地との間に通気層を設けた「2重野地板構造」
「2重野地板構造」 屋根下地の野地板を2重にし、上下の野地板の間に空気の通り道を設け、熱気や湿気を排出します。
通気層には、太陽の熱を遮断する「遮熱シート」を。
「遮熱シート」 輻射熱をシートのアルミ箔部分で反射させることで、遮熱効果を発揮します。

新鮮な空気を取り込み遮熱効果アップ。
「軒先換気口」 通気層に空気を取り込むために、軒先に換気口を設けます。常に新鮮な外気が取り込まれることで、遮熱効果が一層高まります。
通気層の熱気や屋根裏の湿気を排出。
「換気棟」 通気層に溜まった熱気は「換気棟」から外部へ排出。さらに屋根裏の熱気・湿気も同時に排出し、屋根裏を常に快適で健康な状態に保ちます。


屋根裏を換気して遮熱する。KMEWの「快適!熱シャット工法」。KMEWで実験を行ったところ、通常工法の屋根に比べて屋根裏温度が約10℃低く保てるという結果が得られました。

「快適!熱シャット工法」の屋根裏(小屋裏)温度低減効果

「快適!熱シャット工法」の屋根裏(小屋裏)温度低減効果

エアルーフインシュレーションシステム

エアルーフインシュレーションシステムエアルーフ・インシュレーションシステムは、富士スレートが開発した瓦屋根材を葺く工法であり、屋根下地材である野地板及び防水シートの外側を受金具と桟木を用い断熱施工し、断熱性、遮熱性、防露性、及び建築部材の耐久性を高める面において、上記の「快適!熱シャット工法」同様、効果的な断熱工法です。

バリューポイント1「断熱性・遮熱性」

建物上部からの日射熱や換気を外部近くでガードし、室内の温度変化を小さく抑え、より快適な居住環境を作ると共に、遮熱効果や省エネルギー効果を高めます。

バリューポイント2「防露性・耐久性」

野地板等での結露の発生を抑え、野地板や下地木材等を腐りにくくします。野地板や防水シート等の温度変化を小さく抑え、熱劣化を軽減します。

バリューポイント3「コストパフォーマンス」

単純な構成と施工性の良さにより、コストパフォーマンスが高く、高価な外断熱工法が比較的リーズナブルに導入することができます。


屋根断熱工法システム

改修後の温度測定

システム略図

温度測定グラフ

戸建住宅屋根の結露計算結果例

結露計算結果表

戸建住宅屋根の断熱材の位置の違いによる性能比較

断熱材の位置の違いによる性能比較表

金属屋根の各種工法

金属屋根は非常に多くの材料と工法があります。戸建住宅では利用頻度はそれほどでもありませんが、主に大型の倉庫や店舗等で使用されることが多いので、㎡単位の出荷量では屋根材で一番多く出荷されています。

折板葺き

主に工場や倉庫などの建物に利用されることが多い工法で、タイトフレームと呼ばれる固定用金物を梁の上に取りつけ、その上に材料を施工します。特徴としましては、他の金属屋根より厚みのある材料を使用することが多いことや、他の材料よりも長い材料に成型することが可能なことが挙げられます。トラックで運べないような寸法の材料を使用する場合は、現場で成型します。

材料のジョイント部分の止め方で、はぜ締めタイプ、重ねタイプ、嵌合タイプに区別されます。また、断熱材を間にはさんだ二重葺きタイプやわん曲加工を施すこともできます。

瓦棒葺き

瓦棒状の立ち上がりを、流れ方向と平行に確保しながら施工していく方法です。心木あり瓦棒、心木なし瓦棒、嵌合タイプの3つの工法があります。

中小規模の建物に使用されたり、最近ではシャープな外観にフィットするので一般戸建住宅にも使用されています。

立平葺き

工法としては瓦棒葺きとあまり変わりませんが、瓦棒葺きではジョイント部分が瓦棒状(凸状)になるのに対して、立平葺きではジョイント部のはぜ(板の折り曲げ部分)が密着しています。

吊子を両端から挟みつけてはぜ締めするはぜ締めタイプと、キャップを被せてはぜ締めするキャップタイプなどがあります。

平葺き

平葺きとは本体材料に立ち上がりを設けずに平面に葺きあげる工法です。比較的小さめの材料を使用するので、施工手間はかかりますが、どのような屋根形状にも、合わせて葺くことができます。 一文字葺きの他、菱葺き、亀甲葺きがあります。

馳の線が一文字葺きは千鳥張り、菱葺きはひし形、亀甲葺きは六角形に見えます。

横葺き

横葺きとは垂木に対して直角方向に、軒先から棟方向へ階段状に止め付けていく工法です。

材料の種類も豊富なので、用途も公共施設から戸建住宅まで幅広く使用されています。

金属瓦葺き

瓦や化粧スレートのような形に金属で成型された材料で施工する工法のことです。棟方向から軒先に対して長い縦タイプと軒先に対して水平に長い横タイプがあります。

用途としては、戸建のリフォームに利用されることが多い材料です。

カバー工法

カバー工法とは既設の屋根の上に金属屋根を葺く工法です。既設屋根の撤去費用が不要で、廃棄物も出ませんので環境にやさしい工法です。

ただし、野地板や垂木など下地の状態次第ではカバー工法が出来ない場合もあります。